私は小さいころから引っ越しばかりしていました。
引っ越しというと親の転勤などが理由になりますが、うちの場合は違います。
引っ越したのはどれも学区内の小さなエリア。
わが家はずっと賃貸住まいだったので、家族構成の変化や収入の変化によって、引っ越しが繰り返されたのです。
友だちはみんな、自分の家を持っていて引っ越しなんてほとんどしません。
あるとしたら、新築を立てるための引っ越しです。
小学校の高学年になると、友達から「また引っ越すの?」と言われました。
「きっとお父さん、新しく家建てたんだよ、良かったね」と言われたこともあります。
でも、そうでないことはよく分かっていました。
子どもながらに、引っ越しばかりしていることが恥ずかしくて、
そんな親の下に生まれてきたことさえも嫌になる時期がありました。
結婚をして、私達夫婦の暮らしが始まると、自分の家を持つことが、私の夢となりました。
両親には叶えられなかったマイホームの夢です。
私は絶対叶えたいと思っていました。
でも自分が子供だったころと、住宅事情が変化していました。
戸建てを持つのは結構難しい夢となり、手入れが簡単なマンションが増えました。
長男を身ごもった時、神奈川県にマンションを購入しました。
最寄り駅から徒歩15分以上ある、坂の上の3LDKのマンションです。
最後の1部屋だったのでだいぶ安くしてもらえたこともあり、そこに決めたのです。
自分の家を持つこと、その夢がかなった瞬間でしたが、私はここが終の住処とは全く思っていませんでした。
だって、私が欲しいのはマンションの一室ではなく、自分の土地に立つ一軒家だったからです。
マンションは住民みんなの土地であり、もし災害でマンションが崩れた時、どこに自分の居場所があるのか分からないような土地です。
4階の一室が自分の家であれば、それはその土地の上空のことです。
建物がなくなってしまえばただの空。
そんなはかないものは永遠ではないのです。
だからどうしても、自分の家、土地が欲しかったのです。
そこにいても誰からも文句を言われず、
ずっといられる場所。
この夢がかなったのは、離婚して母を引き取り今のパートナーと一緒に暮らし始めた時です。
私は家賃を払い続けるより、ローンで自分の持ち物にした方が合理的だと判断し、家を探し始めました。
家を持つなら、お墓参りに行きやすい場所がいい。そして運命の巡り合わせで今この土地に住んでいます。
今になって思うのは、家を持つということは
「ここに居ていいよ」と同時に、
「ここに居なくちゃだめだよ」になるのだということ。
生きていると様々な変化が訪れます。家族構成が変わったり、家族の健康状態が変化したり。そのたびに家自体を変えることはお金のかかることであり、簡単ではありません。これがもし賃貸であれば、その都度引っ越すことで対応できます。
まさに、私が育った環境のことです。
子どもの頃は分からなかったけれど、
そして時代が持ち家志向だったこともあるけれど、
両親の暮らし方は必ずしもダメ、ではなかったのかもしれないのです。
土地を持つとそこに縛られる・・。
だけど簡単に手放せない分、うまく切り抜ける方法を考えて乗り越えていく。
それも人生には必要な要素です。
賃貸は、年を取ってくると貸してもらいづらくなくというのも、聞いたことがあります。
年を取ってから居場所がなくなるのはつらいことです。
だから、私は家が欲しかった。。。
自分の家を持つこと
賃貸で住まうこと
両方の善し悪しを考えて、自分の生き方に合った方を選ぶこと。
これが一番大切なことなんだと思います。
小学生だったころの私に、
「お父さん、お母さんはダメじゃなかったんだよ」
と伝えてあげたいと思うのでした。
